『方法序説』か『方法叙説』か /学研『よくわかる世界史』、山川『ナビゲーター世界史B』:高校参考書批判Ⅱ
- 2017/08/15
- 21:16

さて、〈高校参考書批判〉と題する第2回めである。大学受験用の参考書に、いかにデカルトにまつわる誤謬が多いことか! それを突いていく。前回は、青木裕司先生の著作を攻めた(→前回のブログ)。ところで、図らずも今回のブログでは、もっと大きなテーマにも脱線していくこととなる。それは、『方法序説』なのか、『方法叙説』なのか、という表記の問題だ。本質的にはどうでもいいことながら、〈歴史〉を追っていけば明確な答...
青木裕司『青木世界史B講義の実況中継』:高校参考書批判Ⅰ
- 2017/08/12
- 22:29

以前のブログ→『省察』の読み方は「せいさつ」 では、多くの高校参考書に数々の〈デカルト〉にまつわる間違いがあることに触れた。具体的には、本来「せいさつ」と読むべきデカルト著『省察』が、高校参考書のざっと半数で「しょうさつ」と読ませてあることを指摘したのである。そしてこのことの問題点は、もっと根本的な所にあると思った。その時私が思ったことを再掲載すれば、――この瑣末な事態が、私はちょっと気になる。なぜな...
『きけ わだつみのこえ』と『デカルト選集』
- 2017/08/07
- 01:36

全6巻からなる創元社『デカルト選集』は、わが国最初の本格的なデカルト著作シリーズだった。そのうちの半分が昭和14年(1939)に刊行された。先日私は、インターネットでこの『デカルト選集』の第三巻を購入した。奥付を見ると、ドイツ軍がポーランドに侵攻して第二次世界大戦の始まったまさにその頃の1939年9月の出版とある。じつは、私の書棚には以前から『デカルト選集』全巻が揃っていたのだが、余分に買い足したくなったの...
森見登美彦『恋文の技術』
- 2017/08/04
- 21:49

『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店、2007)は百数十万部を売り上げている森見登美彦の恋愛ユーモア小説で、出版から10年を経てアニメ映画化されこの4月から上映されている。アニメーションの絵柄は、ベクタ形式(ベジェ曲線&ベタ塗りカラー)で描かれ大正ロマン的乙女画に似せてあるのが象徴的で、それは本の中身と絶妙にマッチしている。映画予告編の出来が秀逸なため、私の心をいたずらに煽る。ここ沖縄本島には上映館がひとつ...